★地デジ難視問題〜ケーブルテレビ設置反対署名住民提出!
     
  2010年2月17日配信  
 
 
     
     
ケーブルテレビへの決議書
     
 
ケーブルテレビへの決議書
 
     
地上デジタル放送の受信が出来ないところ「難視地区」の対策方法によっては新たな経済的負担が住民に発生することが分かり、大きな問題となっている。
熊本県天草市五和町では共同アンテナ設置を求める住民らが、金銭負担の大きいケーブルテレビの参入に反対し、42戸の署名を集め、電柱使用を許可しない決議書を2010年2月1日、天草市(安田公寛市長)と天草ケーブルネットワーク株式会社(松﨑周一社長)に提出した。

地上波のテレビ放送は、これまでのアナログ放送が来年2011年7月24日に終わり、デジタル放送のみとなる。
受信のためには対応テレビやUHFアンテナなど受信設備が必用になる。
自分でアンテナを建てて映れば問題ないが、映らない場合には共同アンテナの受信設備を設置するか、ケーブルテレビへ加入しなければならない。

天草市の場合、アナログでの難視105戸とデジタル化によって新たに発生した難視が87戸(2010年1月現在)あり、県下で天草市が約30%を占め、対策が大きな問題となっている。

 
     
         
         
 
個人負担の比較
共同アンテナを設置する場合
 

ケーブルテレビへ加入する場合
 
         
     

国に難視地区の申請をして、認定されれば、共同アンテナを設置する場合は、国と市、さらにNHKの補助制度で自己負担は約7,000円と安い。
電気店に頼んで自分でアンテナを設置した場合より、はるかに安く済む。
しかも月々の経費は電気代の約100円から300円程度だ。

しかし、ケーブルテレビがサービスを提供している地区内では、この補助制度は利用できず、地デジを見るためには事実上、ケーブルテレビへ加入する方法しか選べない。

天草市では天草ケーブルネットワークがこれまで、本渡地区を中心に有明、栖本、新和、五和の各一部の地域にサービスを提供している。
しかし通常、加入時に工事費3万1,500円と月々3,675円で、年間では44,100円の料金がかかり、NHK受信料とは別に新たな金銭的負担が必用となる。

 
     
         
         
 
代表の宮崎正敏さん
 
宮津区長の宮崎光男さん
 
         
 
     
 

天草市が19億円をかけて「広域ネットワーク事業」で市内の公共施設を光ファイバー網で結んだケーブルを、天草ケーブルネットワークが借りて、サービス提供地区の拡大を狙っていたところで、計画中の五和町宮津、友辻、引坂の各地区住民が、「高い料金を負担しなければならないケーブルテレビは、この地区にはいりません!」と参入に反対する行動を起こした。

住民は経済負担の少ない共同アンテナの設置を希望しているのに、ケーブルテレビが入っていると補助金の対象にはならないことを知ったからだ。
地デジを見るためには、ケーブルテレビに「半ば強制的に加入させられ、高い料金を払わなければならない」と怒る。

代表の宮崎正敏さん(86歳)らは「市に共同アンテナ設置を要望する陳情書と、ケーブルテレビへは現在の電力会社とNTTの電柱使用と、新たな設置は一切、許可しないという内容の決議書を地主らの署名と共に提出した。

似たようなケースがちょうど1年前に、牛深町岡東地区など約300戸から500戸でも起きている。

宮津区長の宮崎光男さん(78歳)は「地デジ化は国民が希望したわけではないのに、年金生活者に新たな金銭負担は困る。本来ならテレビも無料で欲しいくらいだ」と声を荒げて訴える。

 
         
         
 
五和町宮津
 
市への陳情書
 
         
 
     
 

一方、同町打越地区約50戸では共同アンテナの設備を使っていたが、老朽化し、電柱の立て替えなど住民一人あたり約15万円の負担が発生するため、デジタル化への改修を断念した。

そしてケーブルテレビが市の光ファイバーを借りて同地区までサービスを拡大し、それに加入することがこのほど決まった。
NHKなど6波(NHK総合、教育、KKT、RKK、TKU、KAB)のみの再送信で視聴する。
工事費は一世帯あたり約35,000円、利用料は毎月1,050円かかる。住民はNHK受信料とは別に年間12,600円を負担しなければならない。
工事関係者の話によれば改修費の当初見積もりは約2,500万円。下請け費が約500万円、材料費が約500万円で、今回は古い電柱の交換費用が追加され、約500万円余計にかかる予定だった。しかし、残りの約1,000万円が業者の利益になる計算だという。

総務省九州総合通信局の担当課はケーブルテレビに補助金を出しているため、二重投資になるので、ケーブルテレビのサービス提供地区内に、共同アンテナを新設したいとの要望があっても、補助金を出すわけにはいかない、と説明する。
これは天草だけの問題ではなく、全国各地で同じようなケースが起きているという。

天草ケーブルネットワークには県と市が出資しているが、比率はごく僅か。
天草市は21年度補正予算の中からも「地域情報通信基盤整備推進事業」として同社が整備する放送並びに通信事業に必用な経費として、65,469,000円の補助金(全額国庫)を出している。
しかも同社が請け負う今回の難視対策工事は別の補助金「共聴施設整備事業」から出て、入札もない。

一方、天草郡苓北町(田嶋章二町長)では国の「地域情報通信基盤整備推進交付金」や「地域活性化・公共投資臨時交付金」「地域活性化・経済危機対策臨時交付金」などを使って、来年3月までに町の全3,100戸に光ファイバーを引く。
当初はNHKと民放合わせて6波の再送信のみだが、今後はインターネットの利用と、BS、CSの再送信、さらに独自チャンネルも検討している。

総工費は約9億5千万円。そのうち町の持ち出し分は約1億2千万円だが、難視の約650戸には、国の補助金が使えない家庭内の配線工事費と、月々の利用料を町が全額負担し、NHKなど6波の視聴は無料にする計画だという。(NHK受信料は別途必用)
難視地区の住民は地デジを「無料で見ることができる」と喜んでいる。

難視対策も様々で、無料のところもあれば、方や大きな金銭的負担が発生するケースなど、国民の不公平感が高まっている。
「地上デジタル放送」は国の政策によって行われるもので、「営利企業に補助金まで出して儲けさせるなどもってのほかだ。さらに国民に経済的な負担をさせるなど許せない」と宮崎代表と宮崎区長は口をそろえて言う。

今後、地デジを視聴する全ての世帯に、新たな経済的負担のない、国の平等な対策が望まれる。

 
     
     
 
     
 
 


 



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