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天草学林(アマクサコレジオ)はどこにあったか、その跡地をめぐって、島では熱い論争が展開されている。
「欺瞞を暴く」、片や「歴史のねつ造」と主張。泥仕合化しそうな様相になってきた。

天草学林(アマクサコレジオ)は今から約410年前、キリシタンの聖職者養成のための大神学校で、そこでは遣欧少年使節がヨーロッパから持ち帰った金属活字印刷機で、日本で初めて「イソップ物語」や「平家物語」が印刷された。

コレジオ跡地をめぐって熊本県本渡市、同県天草郡河浦町両説があり、昭和30年の始めから、郷土史家を中心に論争が展開されているが、未だ両説とも文献、遺物の決定的な証拠は示されていない。

論争の争点は何か、何が問題となっているのか、論争を追ってみた。

アマクサコレジオを日本で初めて紹介したのは「広辞苑」を編纂した碩学の新村出博士といわれる。
新村博士は1908年、イギリスの大英図書館で1592年にアマクサコレジオで印刷された、と表題に記載された「平家物語」を閲覧し、アマクサコレジオの存在を初めて知る。
そして天草本(キリシタン本)を出版した大神学校として、世に紹介された。

「天草学林」という名称はその後、キリシタン研究者が付けた名前で、アマクサコレジオは当時、日本人がどういう名称で呼んでいたのか、日本の古文書には全く記録がない。

アマクサコレジオについての記述は当時唯一、イエズス会の宣教師達が記した書簡等に残っているが、残念なことに天草のどこにあったのか場所を示す記述がなく、その所在地については現在も「謎」のままだ。

決定的な文書、遺物の証拠がないために、「邪馬台国論争」に似た所在地論争が昭和30年の始めから現在に至るまで、郷土史家を中心に展開されてきた。

1958年、郷土史家の鶴田倉造氏が天草殿の居城地は河内浦で、その地にコレジオを誘致したとする「河浦説」を提唱。
また発掘調査も河浦町教育委員会によって河浦中学校校庭、同町天満宮、崇円寺等で行われたが、コレジオ跡の遺構は発見されず、「河浦説」の仮説は依然、立証されていない。

決定的な証拠がないにもかかわらず、河浦中学校校庭には、アマクサコレジオ跡地を示す標識が建てられ、また1990年には「コレジョ館」が建設され、町の観光パンフレットには河浦町にアマクサコレジオがあったと「断定」した記述がされている。

考古学の世界で日本の旧石器時代の遺跡がことごとく、ねつ造されていた事件は記憶に新しいが、ニュースを賑わす歴史的な新発見が続くその当時、異を唱える研究者もいたというが、彼らの意見は大勢にかき消され、無視されたという。

結果、教科書にまで記載されることになった歴史の「事実」が実はねつ造されていて、まっかな嘘であった。
これは学会のみならず、日本中を驚かせ、歴史研究に対する不信感を抱かせる結果となった。

そんな状況の中で昨年1月、本渡市亀場町の金子悟郎氏(東大史学会員)が「天草学林・謎に挑む」(天草民報社刊)を出版した。著書では内外の古文書を原典からすべて洗い直し、検証したという。

著書の中では上智大学松田毅一教授が昭和42年、著書「南蛮巡礼」の中で「コレジオとノビシャドが移っていったのも河浦であるとはっきり書かれており、本渡説は完全に打消される由で、近くその詳細がローマの研究所から公表されるという」としながらも、35年たった今でもまだ公表されず、当の本人はこの世を去ってしまった。
金子氏は、誤った解釈のまま、河浦説が有利に展開していった、と痛烈に著書で批判している。

実はそんな資料など存在しないのではないか、と言われてきたが松田氏が著名な研究者であっため、否定する人はいなかったのではないか。
これを書いている私でさえ実は、そう信じていた。
多くの人たちがまたそうであった。

これは歴史研究の弊害というより、むしろ罪である。
金子氏は「歴史がねつ造された」とまで主張している。

昨年8月には金子悟郎説の反論書ともいうべき「天草学林東向寺説の欺瞞を暴く」(天草文化出版社刊)を河浦町の玉木譲氏(同町文化財保護委員)が出版した。

内容はこれまでの河浦説諸氏の「焼き直し」がほとんどであるが、1601年の年報にロドリゲス神父が記録に残した「コレジオがひっそりと置かれていた河内浦に」という記述を紹介し、論争は決着した、と書いている。

しかしその原典(原文)の記載がなかったので、玉木氏に確認したところ、資料を紹介した結城了悟氏(長崎県・日本26聖人記念館館長)が、その原典を確認できずにいるという。
原典の確認もせずに、これが決定的な証拠だというにはあまりにもお粗末で、前述の松田教授の時と同様に、その文献は果たして本当に存在するのか、疑問に思えてくるのは、私だけではあるまい。

アマクサコレジオは日本の文献には一切記述がない。
このため唯一、イエズス会の宣教師達が残した書簡等に頼らざるを得ない。
しかしラテン語ポルトガル語などで記述された外国文献の原典を解読できる研究者は少ない。
これがコレジオ研究を困難なものとしているのが実状だ。

現に郷土史家でキリシタン史研究の第一人者といわれる人の中で、外国文献を読解出来る人がいったい何人いるのか、疑問である。
実際、皆無に等しい。

一次資料の原典も検討せずに、科学的な考察など出来る訳がない。

所在地論争の行方を追ううちに実は、論争から半世紀近くを過ぎた今も何も解っていない、というのがどうも真実のようだ。

400年前の昔、極東の日本の、さらに西端のちっぽけな島、天草から世界に向けて情報発信していた事実には驚かされる。
IT革命は金属活字印刷機以来の革命といわれる。
その原点ともなったアマクサコレジオの功績を現代に伝えていくためにも、所在地を一刻も早く、確定して欲しい。

世界的レベルの「知」が集結したアマクサコレジオ。
「謎の所在地」を解明する現代の最高水準の「知」がこれを契機に天草に再び、集まることを祈りたい。
2002.Jan

 

 
 
 
   
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