天草四郎生誕400年・天草コレジオ創設430年・世界文化遺産登録3周年記念
キリシタン研究書と番組DVD/知事と県立高校に/天草キリシタン研究会と天草テレビが寄贈
今年は天草四郎生誕400年と天草コレジオの創設430年、さらに河浦町の崎津地区が世界文化遺産に登録後3年の節目にあたることから、天草キリシタン研究会の浜崎献作会長と天草テレビの金子寛昭代表は2021年6月28日、熊本県庁を訪れ、キリシタン研究の書籍と、天草テレビ制作の番組DVDを蒲島郁夫知事へ寄贈した。
また天草管内の県立高校7校と市内の一部の小学校、中学校へも寄贈した。浜崎会長は「天草の将来を担う若い人たちにも天草の歴史や文化に興味や関心を持って欲しい」と語った。
浜崎会長は1986年からサンタマリア館(有明町)を郷土史家の父と共に経営。キリシタンに興味を持ち、研究を続けてきた。99年に『かくれキリシタン:信仰の証』を出版。
また91年から「全国かくれキリシタン研究会」に所属し、全国のキリシタン遺跡や墓碑、さらに祈祷文「おらしょ」などを調査した。おらしょの中には修験道の祈祷文も混じっており、天草の潜伏キリシタンは本来のキリスト教の教えから大きく逸脱し、修験道や土着の信仰と融合した独自の民俗宗教となってしまったという。そして生涯にわたる研究をまとめたのが『天草キリシタン研究集成』の3部作だ。
また天草テレビ出版編著の『天草キリシタン10の謎』は、未だに解明されていない謎を取り上げた。
中でも60年以上も論争を続けてきた最大の謎である天草コレジオの所在地問題では、調査報道の過程で2020年2月、英国の大英図書館が所蔵する古文書にフランシスコ・ロドリゲス神父が記録した「1601年度イエズス会年報」の補足の中に、河内浦(現河浦町)にコレジオがあったと書かれた証拠史料を発見した。
また翌月にもオーストリア国立図書館にある蔵書から1617年、スペイン王室政庁の管区代表だったポルトガル人宣教師のルイス・ピニェイロが書いた書物に肥後国、河内浦にはコレジオがあったと記述された箇所を発見した。
天草キリシタン研究会で発表されたこの2つのニュースは世紀の大発見として大きな反響を呼んだ。それらを記事化し、証拠となった古文書の原文を史料輯として掲載し、また発見のニュースを番組DVDにした。
また謎に包まれ、実像がはっきりしない天草四郎だが、実在を証明する証拠の幕府側の報告書「島原の乱関係史料」(天草郷土資料館旧蔵)古文書47枚(94)、53点も民間の所有者から提供を受け、カラー写真で掲載している。
蒲島知事は「天草のキリシタン研究はもちろんのこと、文化振興と発展に大きく貢献するものだと思う」と感謝の言葉を述べた後、「県も世界遺産登録3周年を記念してイベントなど、今後もキリシタン文化を始めとするさまざまな天草の魅力を国内外に発信して行きたいと考えている」と語った。
(2021.6.28)
寄贈品は以下の通り。
1).書籍 濱崎献作著『天草キリシタン研究集成』第1輯、第2輯、第3輯、株式会社インプレスR&D出版、2020〜21年。
2).書籍 天草テレビ出版編著『天草キリシタン10の謎』株式会社インプレスR&D・ 天草テレビ共同出版、2020年。
3).天草テレビ制作番組DVD
番組「天草コレジオは河浦に!跡地論争に終止符か 大英図書館に場所を示す古文書」
番組「続編・天草コレジオは河浦! 相次ぐ新史料発見!」
番組「世界文化遺産登録記念 キリシタン禁教時代の信仰具アワビ貝に見えたものは?!」
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