「くるもん」快走!/利用者10万人超え/買い物難民の支えに
熊本県天草市南新町のJA本渡五和が行なっている移動販売車「くるもん」が2016年にサービスを開始以来、利用者が2022年7月に延べ10万人を超えた。コロナ禍で外出控えの影響もあってか、年間の売り上げも2年前から2千万円を突破した。高齢化率が50%(註1)を超え、近くに店がない地域も多く、車での移動手段を持たない「買い物難民」の大きな支えとなっている
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直営店「グリーントップ本渡店」(同市八幡町)の青果や肉、魚、牛乳など約700点の商品を1台の軽トラックに積み、日曜を除く毎日、管内55箇所の地区を週に1回の頻度で回っている。「くるもん」の名称は熊本県のゆるキャラ「くまもん」にちなみ、前組合長が名付け親。目的地付近でかけ始める歌も組合員の手作りだ。同経済部の松下真一部長によると、昨年の年間利用者は1万5300人で、一人当たりの客単価も1500円を超えて年々、増加しているという。
当初から携わっている運転手兼販売員の渡辺祐二さん(57)は一人暮らし用の小さなパッケージに入った惣菜やパン、先祖へお供え用の和菓子などもよく売れている。中にはまとめ買いで5千円くらい使う人もいるという。客は1日50人前後で、90歳前後の高齢者がほとんどだ。
認知症サポーターの研修も受けており、販売だけでなく、地域のお年寄りの見守り活動も兼ねている。「みんな早くから来て待ってくれている。毎日が楽しい」と話す。
ミカンなどを買いに来た同市宮地岳町の竹間喜代子さん(82)は渡辺さんに対し、「年寄りにも何んばゆうてもはるかかれん(おこらない)人で、何んでん話してくれてやさしか人。(移動販売車は)ためになっとるし、買い物が楽しみ」と話していた。
(金子寛昭)2022.09.27
(註1)旧本渡市、旧五和町で65歳以上の高齢化率が一番高いのは宮地岳町で51.4%(2020年国政調査、市総合政策部 政策企画課による)
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