天草・富岡城に「股のぞき台」設置/目の錯覚で感動体験
熊本県苓北町は富岡城本丸内に「股のぞき台」を作り、新たな観光資源として売り出した。長崎県島原半島や雲仙普賢岳、富岡港、そして巴湾から鳥のくちばしのように曲がって延びた砂州が一望できる場所に「股のぞき台」2台と案内板を設置した。
「股のぞき台」は1900(明治33)年頃に設置されたといわれる「日本三景」の天橋立(あまのはしだて)で知られる京都府宮津市の傘松公園がすでに有名。(註1)股の間から景色を眺めると空と海の景色が逆になる。また視界が明るくなって対象物が鮮やかに見え、距離感がわかりにくくなるという。立命館大学の東山篤規名誉教授は股のぞきが姿勢の違いによる目の錯覚で、不思議なものの見え方を科学的に解明。2016年、人々を笑わせ考えさせた研究に贈られるイグノーベル賞を受賞し、世界から注目された。(註2)
普段見慣れた風景が違って見えるこの「股のぞき台」。同町の90代女性に尋ねると「大和撫子(やまとなでしこ)じゃけん、そがん格好は恥ずかしか」と顔を赤らめ、また60代の男性は「薄くなった頭を他人に見られるのが嫌」と消極的な意見もある中、町の担当者は「それ以上の感動体験が得られます」と盛んにPRしている。
(金子寛昭)
(2024/1/6)
◎註:
2022年、実施した旅行業者などを対象にしたモニターツアーの参加者からアイデアが出され、熊本地震復興観光拠点整備等推進交付金(熊本地震復興基金)を活用し(1/2補助)、総工費は3,289,000円。股のぞき台(2基)、説明看板、誘導看板を2023年11月14日に設置。
(註1)天橋立「股のぞき」
https://www.city.miyazu.kyoto.jp/site/citypro/4509.html
(註2)立命館大学の東山篤規名誉教授が2016年にイグノーベル賞を受賞
https://www.rikelab.jp/post/3797.html
イグノーベル賞
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%B0%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%99%E3%83%AB%E8%B3%9