ICT教育でも活用できるガイドブック/本渡地区の小中学校に寄贈/ふるさとの良さを知ってもらおうと天草出身の新さん
天草出身者のふるさと会「東京本渡会」の新日出雄名誉会長(93)がふるさとの良さをもっと知ってもらおうと書籍「天草の魅力を探る文化と歴史ガイドブック」を天草市の本渡地区にある小学校と中学校、5校に2022
(令和4)年7月28日、寄贈した。
東京本渡会が監修し、天草の地域おこしグループ「天草デザインプロジェクト」が編集、インターネット放送局「天草テレビ」が2022(令和4)年1月に出版。
QRコードを掲載し、タブレット端末をかざせば動画番組が視聴できたり、地図を表示する工夫も随所にあり、ICT教育でも活用できる。コロナ禍で新氏や平田俊清会長の出席は叶わなかったが、代理で南地区振興会の亀子研二会長が目録と本を手渡した。
本は文化と歴史篇に分かれている。文化篇では天草を訪れた際に俳句を作った文豪の夏目漱石や、「海の幸」などを描いた天才画家の青木繁が油絵「天草風景」にまつわるエピソードや、また「シャボン玉」などの童謡を作詞した野口雨情が天草を三度訪れ、詠んだ詩を30節以上収集し、研究をまとめた。
同市の十万山には雨情が約90年前に登り、みごとな桜を詠んだ詩がある。新氏は地元の高校を卒業し、天草を離れる際、志を立てた場所で特に思い入れのある場所だという。
2013(平成25)年からふるさと納税などこれまでに約2700万円を寄附し同公園の桜の苗を植樹するなど、これまで公園整備事業などに使われた。
また歴史篇では天草のキリシタンの謎を取り上げ、キリシタンの最高学府「天草コレジオ」の所在地論争などを紹介。イエズス会の宣教師が1617年に出版した書物に「肥後国、河内浦にコレジオ」があったと書かれていたことが判明するなど、最新の研究成果も紹介されている。
天草デザインプロジェクトの金子順子代表(59)は現場の教師たちの意見を参考にしながら、本は教科書と同じサイズで、文字も大きく、記事にはルビ(かな)を振り、ページ数も100ページ以内に収め、小学校の高学年以上を対象にした。「地域のことを学ぶ時間に副教材として使ってもらえればとの思いで、各クラスに1冊づつ行き渡るように合計62冊を用意された」という。
天草出身者のふるさと会と地元の地域おこしグループがコラボし、学校へ本の寄贈は今回、初めてのことだ。本渡中学校の田尻透校長は「教育の現場でぜひ、有効活用させて頂きたい」と話した。
(2022.7.28)
寄贈内容は以下の通り。
1).東京本渡会監修・天草デザインプロジェクト編著『天草の魅力を探る文化と歴史ガイドブック』株式会社インプレスR&D出版・天草テレビ共同出版、2022年。
天草市立本渡北小学校=10冊
天草市立本渡南小学校=10冊
天草市立亀川小学校=10冊
天草市立本渡中学校=24冊
天草市立綾南中学校=8冊
合計:62冊
【註】
◎新日出雄(しん ひでお)名誉会長は1929年3月、天草市本渡町生まれ。
不動産会社の新光産業株式会社(東京新宿区)1968年、創設。前社長、現在は相談役。
東京天草郷友会元第13代会長、現相談役。東京本渡会初代会長で現在、東京本渡会名誉会長。
2020年12月に紺綬褒章を受章。
著書「風雲 わが足跡八十余年」(講談社ビジネスパートナーズ)
◎東京本渡会は天草市合併後にできた関東在住の旧本渡市出身者の集いで、現在の登録者数は601人。
◎『天草の魅力を探る文化と歴史ガイドブック』
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