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マリア観音
    潜伏キリシタンの信心具「マリア観音」の台座にマジックペンで「89」と直接書かれている。(天草ロザリオ館の寄託品)
         
鏡   神像   根付
潜伏キリシタンの信心具「鏡」
白マジックペンで「75」と!
  潜伏キリシタンの信心具「神像」
黒マジックペンで「90」と!
  潜伏キリシタンの信心具「根付」
黒マジックペンで「84」と!
         
天草ロザリオ館   潜伏キリシタンの信心具  
問題が見つかった天草ロザリオ館   県指定文化財
潜伏キリシタンの信心具
 
     
     
     

史料に油性マジックで番号を書く!
県指定文化財 潜伏キリシタンの信心具などに
市長が陳謝


県指定文化財の潜伏キリシタンの信心具などを始め、天草ロザリオ館(天草市天草町)と本渡歴史民俗資料館(今釜新町)の寄託史料に天草市の職員が油性マジックペンで直に、番号を書いていたことが2019年12月16日の定例市議会一般質問で明らかになった。中村五木市長は「預かった貴重な資料に不適切な処理を行ってしまい、深くお詫びしたい」と陳謝した。

市文化課によると2010年、資料のデータベースを作成する際、リストと物に番号を書いた。市への寄託や所蔵品389点のうち問題となったのは天草ロザリオ館で129点。その中には県指定の「キリシタン禁制遺物一括」27点のうち、鏡仏やマリア観音、石製十字架、神像など9点の底や側面に直接、黒や白の油性マジックペンで番号を書いてしまった。同様の作業は本渡歴史民俗資料館でも51点あり、両館合わせると合計180点、寄託者数41人にのぼる。丸林真吾課長は「作業手順の確認不足が大きな原因」という。

また中村市長は「早々に、寄託者へ報告とお詫びに伺い、修復や補修などについて協議をしていきたい。今後は職員の指導を徹底し、再発防止に努めたい」と答えた。先祖がキリシタンで、全国でも珍しい「隠し部屋」が自宅にある山下大恵さん(90)は信心具を寄託している。「市長も謝罪していることだから」と多くは語らなかった。

***記者備忘録************

学芸員の資質を問われる問題のたびに、またかと思ってしまう。
「あそこは信用できない」とある寄託者の言葉。
10年も前にすでに問題が発覚していたのに、そのまま放置していたのは行政の怠慢と言わざるを得ない。

(2019/12/20 金子寛昭)

◎関連記事:

○西日本新聞 「史料に油性ペンで番号 寄託の180点、市長が陳謝 熊本県天草市」(2019年12月20日朝刊)

○週刊新潮 「史料に油性ペン 天草の波乱は出口見えず」(2020年2月13日号)

○「倉庫外に33年間放置したまま!実は貴重な礼拝碑「カルワリオの十字架」」

○西日本新聞 「十字架刻む石碑 33年放置 天草市のため池から発見」(2019年12月7日朝刊)