古来人魚と呼ばれた伝説があり、熱帯の海に生息するジュゴンがこのほど熊本県天草の牛深市沖で発見された。 |
ジュゴンは海牛目ジュゴン科の海獣。尾鰭(ひれ)は半月形で鯨(くじら)に似ている。 皮膚は蒼灰色で、腹は白い。 主にインド洋など東半球の熱帯の海に産する。 台湾、沖縄近海にも現れ、日本では50〜100頭が生息するといわれるが、生態はよくわかっていない。 |
今回見つかったジュゴンは体長約3メートル。 牛深市魚貫崎沖の赤島近くに仕掛けた定置網に入っていたところを同市魚貫町の中原静男さん(49歳・漁業)が発見した。 中原さんは最初、ウミガメだと思ったが、息継ぎの間隔が短いし、しっぽがあるので今話題のアザラシかな、と思ったという。 しかしアザラシにしてはヒゲがないし、何だろうと思っていたところ、オーストラリアでジュゴンを見たことがある漁師仲間から、初めてジュゴンだと知らされた。 中原さんは「30年近く漁師をしているが、こんなことは初めて」という。 今年は網に掛かるアカウミガメも特に多く、数日前には熱帯・亜熱帯に分布するアオウミガメも見つかった。 また海水温度が高く、獲れる魚も1ヶ月ぐらいずれるし、南の沖縄に生息する青色の魚や、エイなどがたくさん獲れたという。 |
ジュゴンが入っていた定置網の場所(写真・上)
|
定置網の作業 | 天草・牛深市魚貫崎 |
また今回発見されたジュゴンを貴重なビデオ映像に収めたのは、同町で釣り客に瀬渡しをしている大西一孝さん(43歳)だった。 大西さんはジュゴン発見の知らせを受けて、近くの池田小学校の児童を船に乗せ、見学させた。 その時に撮影したものが今回、唯一の貴重なビデオ映像となった。 ジュゴンが網の中で泳ぎ、息継ぎの様子などが撮影されている。 大西さんも見たのは初めてで、地元のお年寄りに聞いても、今まで誰も見たことがないという。 またその頃、沖から黒潮が流れ込み、魚が釣れなくなっていたという。 |
今回のジュゴン発見について野島助教授は、「びっくりした」と驚きの様子を隠しきれない。
|
海水温が上昇すると冷たい温度を好む海藻が少なくなり、それを食べて育つアワビやウニ、サザエがいなくなる。 そして海藻の代わりにサンゴが増え、これまで熱帯にしかいなかったチョウチョウウオなどの魚がどんどん北上し、増えてくる。 海水温の上昇はそこに住む貝や魚など海の生態系を大きく変えてしまうと警告する。 ジュゴンが見つかった時の牛深の海水温は表層水温が27度、海の底で26.5度くらいあったという。 当時、暖かい海水が牛深周辺に流れ込んで来たと考えられ、ジュゴンが迷い込んできたにしろ、より北まで回遊域を広げたにしろ、また天草にジュゴンが現れる可能性が充分にある、と指摘する。 |
サンゴの北上に始まり、南に生息するジュゴンやアオウミガメが天草で見られるようになったということは天草の海が暖かくなったという証拠であり、また海水温の上昇は天草周辺だけではなく、黒潮全域に起きている。 これは地球規模での出来事で、地球温暖化が原因と警鐘している。 2002.Dec |
★天草テレビの最新番組や人気番組を今話題のケータイ「iPhone」やiPod、Apple TVでご紹介するビデオPodcastサービスを開始しました。 ★番組サンプル無料公開中! ★会員専用ページで番組を配信中です。ご入会はこちらから>>> 左のリンクをクリックすると、iTunesのPodcastを自動購読できます。 *iTunesがインストールされていないWindowsユーザは自動購読できませんので、購読にはAppleサイトからiTunesのダウンロード(無料)が必要です。 |
|||
動画再生ソフトはウインドウズメディアプレイヤー(Windows Media[tm]Playerバージョン7以降:Macも対応)、 |
|
www.microsoft.com/japan |
|||