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東洋文庫企画展
   
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『ドチリーナ・キリシタン』   サクラメンタ提要   (写真はすべて公益財団法人東洋文庫蔵)
* 画像の無断転載を禁じます。
天草本「ドチリーナ・キリシタン」   「サクラメンタ提要」(長崎刊)  
   
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天草コレジオの所在地を示す史料「1601年度イエズス会年報(大英図書館蔵)や、「島原の乱」関連古文書〜天草四郎の目撃情報など幕府側の報告書47枚、53点(個人蔵)、東京大学総合図書館、東京大学史料編纂所、京都外国語大学附属図書館などが所蔵する貴重な資料を約100ページにわたって原本の写真を図録として収めました。詳しく>>
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  新発見の大英図書館に現存する史料などを輯録
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世界に1冊のみ現存!
天草コレジオで印刷されたキリシタン本「ドチリーナ・キリシタン」(国指定重要文化財)
東洋文庫で一般公開


熊本県天草市河浦町にあったとされる宣教師養成のための最高学府「天草コレジオ」で1592年に印刷された教義書「ドチリーナ・キリシタン」(国指定重要文化財)が東洋文庫ミュージアム(東京)の企画展「キリスト教交流史-宣教師のみた日本、アジア-」で一般公開されている。(註)海外の稀覯本を扱う青羽古書店(京都市)代表の羽田孝之さんは「過去最大級の展示で、普段目にすることがない貴重なキリシタン本なども一堂に集め、専門家のみならず歴史ファンにとって必見の価値がある」と話している。

「ドチリーナ・キリシタン」は1549年のザビエル来日以降、日本でキリスト教を布教したイエズス会による出版物で、キリスト教の教義を12の項目に分けて、ローマ字表記の日本語で説明したものだ。表題紙に天草コレジオで1592年に出版されたと書かれている。
イエズス会の宣教師ヴァリニャーノは、1590年、天正遣欧使節の帰国時にグーテンベルクの活版印刷機を九州に持ち帰らせた。この印刷機を使って16世紀末から17世紀初めにかけてキリスト教布教を目的に長崎と天草のコレジオで「日葡辞書」や「平家物語」、「イソップ物語」などが印刷された。しかしこれらの「キリシタン版」は厳しい弾圧にあったため、世界にわずか30種ほどしか残っていない。

1591年、印刷地不明の国字本「どちりいなきりしたん」(ローマのバチカン図書館蔵)また1592年に天草で発行されたローマ字本「ドチリーナ・キリシタン」(東洋文庫蔵)、1600年に長崎で発行された国字本(ローマのカサナテンセ図書館蔵)とローマ字本(水戸徳川家の水戸彰考会蔵)の4書のみで、それぞれ1冊ずつしか現存しない。
東洋文庫の学芸員の篠木由喜さんによると、ローマ字本は宣教師が口頭で布教するためのツールだと考えられ、信者に耳で理解させるために、読むことが出来るようにローマ字表記にされた。また国字本は当時の日本人は知識人でない限り、ひらがなであっても文字を読める人は少なく、宣教師の下に仕えているカテキスタたちが学ぶために作られたと考えられるという。

東洋文庫所蔵の天草本は同館によるとポルトガルのリスボンにあるパッソス・マノエル中学校の蔵書だったが、1910年には外に出て、1912年にスペインのマドリードにある古書店に、その後数カ所を経て東洋文庫設立前の仮事務所であった時期(1917~24)に収集されたという。

篠木さんは「同書は活版印刷機が日本にもたらされたということを証明する資料であり、当時の布教方針もうかがえる。キリスト教史上重要な位置を占めるばかりでなく、印刷史、国語史上でも重要な資料だ。音声では残っていない当時の日本語がどのようなものだったのか、ローマ字表記によって分かる部分もある。
世界中で戦争が起き、文化財が失われていく現在の情勢を考えると、禁教、弾圧の中にあった本書を目にすると、よくぞ残ってくれていたと思う」と語っている。

また1605年に長崎で発行された洗礼や婚姻などの手引書で宣教師のルイス・セルケイラが編集した「サクラメンタ提要」も展示される。同書は日本の印刷史上初の二色刷りで、19曲のグレゴリオ聖歌を収めた「洋式五線譜」が掲載されている最古のものとされる。
会期は2024年1月27日から5月12日まで。(金子寛昭)

(2024/2/7)

◎註:
(註1)東洋文庫ミュージアム(東京)の企画展「キリスト教交流史-宣教師のみた日本、アジア-」
天草本「ドチリーナ・キリシタン」は22年に展示して以来、1年半ぶりとなる。
後援:上智大学キリシタン文庫、長崎県、天草市

◎関連記事:

天草テレビ出版編著者「天草キリシタン10の謎」天草テレビ出版(2020年10月発行)

「天草コレジオはどこにあった?」八木書店公式サイト(2020/4/22)

天草テレビ「鶴田倉造氏が死去 天草コレジオ河内浦説を提唱」(2020/4/22)

○天草テレビ「新史料再び発見!オーストリア国立図書館に所蔵!河浦に天草コレジオ」(2020/4/20)

○西日本新聞 「天草コレジオ 謎に光 河浦示す古文書 英国に キリシタン最高学府所在地論争60年超」(2020年2月9日朝刊)記事中34行目「ラテン語で」は「ポルトガル語で」の誤りでした。お詫びして訂正します。(金子寛昭)

○西日本新聞 「天草コレジオ謎のまま?跡地の所在 かつて大論争 合併で下火 郷土史家危機感」(2019年12月14日朝刊)

○天草テレビ関連記事「天草コレジオはどこに?/60年以上も論争/決定的な証拠見つからず〜天草キリシタンの謎シリーズ(1)」

○天草テレビ関連記事「倉庫外に33年間放置したまま!/実は貴重な礼拝碑「カルワリオの十字架」/天草で初めて発見!史料的価値 高いと専門家」

○天草テレビ関連記事「新説を提唱!謎のキリシタン墓碑/新説を提唱!謎のキリシタン墓碑/イエズス会士のロペス神父か?」

○西日本新聞 「十字架刻む石碑 33年放置 天草市のため池から発見」(2019年12月7日朝刊)

○西日本新聞 「イエズス会神父埋葬か 地元の研究家が新説」(2019年12月3日朝刊)